アプリケーションノート
ポータブルX線回折装置を使用した石油・ガスサプライチェーンでのスケール、腐食、スラッジの分析
スケール、腐食、スラッジ分析用のX線回折装置
オリンパスのポータブルX線回折装置(XRD)を使用することで、化学者やエンジニアは現場にいながらスケール、腐食、スラッジ堆積物の同定と定量分析を行うことができます。 スケールや腐食による生成物の特性を迅速に解析することにより、保守点検チームは最適な管理計画をわずか数時間で実行できます。 稼働停止期間を最小限に抑えることができるため、機器に対する必要以上のダメージを避けられます。
石油・ガス資産におけるスケール
スケールと腐食は、石油・ガスサプライチェーンのあらゆる箇所、すなわち探鉱・抽出からパイプライン、製油所まで、関連する機器に影響を及ぼします。 スケールや腐食による生成物を把握することにより、保守点検チームは最適な耐スケール処理や腐食防止剤を素早く適用できます。 例えば、塩酸は炭酸カルシウムスケールの除去に使用されることが多い一方、硫酸カルシウムスケールの除去にはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート材が使用されます。
かつては、保守点検チームは分析のために試料をラボに送り、数日または数週間待つか、高額な化学処理を行う必要がありました(これは機器に害を及ぼす可能性がありました)。 しかし、石油・ガス資産内で発生するスケールや腐食の生成物は限られることが多いため、X線回折装置は迅速で効率的な検査オプションになります。
化合物 | 相名 | 構成の変数 |
CaCO3 | 方解石 | CO2分圧、温度、溶解塩の総量、pH |
アラゴナイト | ||
バテライト | ||
CaSO4.2H2O | 石こう | 温度、溶解塩の総量、圧力、 非相溶混合流体 |
CaSO4.1/H2O | 半水和物 | |
CaSO4 | 硬石こう | |
BaSO4 | 重晶石 | 温度、圧力、非相溶混合流体 |
NaCl | 岩塩 | 蒸発、温度 |
FeCO3 | 菱鉄鉱 | 腐食溶存ガス、pH、バクテリア |
FeS | マッキーノ鉱 | |
FeS2 | 黄鉄鉱 | |
Fe(OH)2 | 水酸化鉄(II) |
ポータブルX線回折装置を使用して識別できる一般的なスケールおよび腐食の生成物
スラッジ堆積物
スラッジ堆積物は製油所でよく見られ、以下の組み合わせでできています。
- 炭化水素(潤滑油やグリース)
- 液体(水や油)
- 非炭化水素または無機物(スケールや腐食)
X線回折装置を使用してスラッジの無機物を把握することで、除去プロセスや再発防止に役立ちます。 ジクロロメタンを使用すればスラッジから無機物(スケールや腐食)を分離でき、(非晶相を除去することによって)スケールや腐食の生成物の特性をさらに詳細に解析できます。
オリンパスのポータブル X線回折装置の利点
オリンパスのポータブルX線回折装置では、分析に必要な腐食/スケールの生成物はわずか15mgです。 結果を数分で取得でき、保守点検チーム、エンジニア、製造化学者などが、最適な耐スケール処理や腐食管理方法を選択する際に必要な知識が得られます。
TERRA®分析装置の利点
- 少量の試料で測定可能: 必要な試料の量はわずか15mg
- 試料の前処理が容易: 熟練技術者は不要
- 高速データ収集: 数分で測定結果の取得が可能
- スタンドアローンで使用可能: 水冷システムや大型の外部電源が不要
- 継続的なメンテナンスが不要: ダウンタイムを最小化し、定期的なX線回折を実行可能
- 携帯性: バッテリー駆動式で可動部品のない堅牢設計
現行方式
ラボ分析のために試料を送る:
- 2~3週間の所要期間
さまざまな化学処理方法を試す:
- 誤った化学処理を行うと機器が損傷する恐れがある
- 誤った化学処理の対応に関連して費用がかかる
- 対処に数日かかる
ポータブルX線回折装置ソリューション
ラボ分析のために試料を送る:
- スケール/腐食の生成物を現場で正しく識別できる
- 最初に正しい処理方法を選択することで、ダウンタイムを大幅に削減できる
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