アプリケーションノート
事例・お役立ち資料
隙間腐食:フランジシール面の検査
業界で知られている損傷のメカニズムの1つに隙間腐食があります。 特定の箇所に腐食性材料が集中したり、様々な材料の組み合わせで強力な腐食液が形成されて損傷が加速することを隙間腐食といいます。
損傷のメカニズムを示す例が、シール間にガスケットを配置した2つの対向フランジのシール間で発生する腐食です。
シール面とガスケット材料の間などの隙間に腐食性材料が集中して、蓄積されます。 局所的に腐食性材料が集中することで、腐食速度が加速します。 シール面の腐食や欠如は密封性を損ない、生産性と資産の損失および人員の負傷を伴う事故の発生につながる可能性があります。
平面座フランジの断面図
フランジのシール面の検査は標準的な方法で行います。 検査は、運用保守プログラムの一部として現場で実施されます。 修理の必要があるフランジを特定する工程改善検査としても一般的です。
現場でのフランジ面の機械加工は、現場における修理として実施されます。 この検査技法により、フランジ面が加工されているかどうか、およびシール面の未接合がないかを確認できます。 修理用のシールがない場合は、フランジを交換する必要がありますが、溶接ビルドアップの技法を使用してシール面を修正することも可能です。
注意: 溶接と機械加工によってフランジ面を修理した場合、UT検査でその溶接が境界面として検出される場合があります。 境界面が検出されると、その信号がシール面の損失と混同されることがあります。
フェーズドアレイ用途
UTトランスデューサを配置する位置は一般的に2箇所あり、フランジテーパー上とボルト穴の間です。 下記の写真を参照してください。
フランジのテーパー領域は常に同じとは限らないので、フランジごとに形状を調整する必要があります。 このステップは困難で、状態評価においてエラーになることがあります。
この技法では、フェーズドアレイトランスデューサをフランジの斜めの部分に配置します。
設計要件および通常の製造工程のため、ボルト穴の間の位置はフランジ面に対して直角になります。 この位置は距離も一定なので、繰り返し適用される用途の比較が可能です。 UTプローブを適切に取り付けるために、四分円ごとに2つのボルトを取り外すべき場合があります。 ボルトを取り外すのは、フランジがずれて減圧される場合のみです。 非常に有害な物質が対象のフランジによって封入されている場合は、ボルトを取り外さないでください。
この技法を使用する場合、フェーズドアレイトランスデューサをボルトの間で使用します。
平面座フランジの写真
これらの写真は、配管に使われる平面座フランジの例です。
フェーズドアレイトランスデューサをフランジの斜め部分に配置できます。
フェーズドアレイトランスデューサをボルト穴の間に配置できます。
ESビームツールのイメージ
ESビームツールを用いることで、フェーズドアレイ技法のセットアップを実行することができます。
フランジテーパー上のトランスデューサで適用されるフェーズドアレイ。
ボルト穴の間のトランスデューサで適用されるフェーズドアレイ。
産業用途
この用途の主な対象は、フッ化水素酸(HF)のメーカーおよびユーザーです。 HFユニットは精錬所や化学プラントで使用されています。 酸、蒸気、塩水などの工程においてフランジのシール位置に害をおよぼす場合があります。
校正基準
フェーズドアレイの設定を確認するには、校正基準を使う必要があります。 UTのパフォーマンスを示すために平面座シール面に加工されたターゲットとともにフランジのサイズと重量の複製を使用することが、設定パフォーマンスの最終的な確認になります。
校正基準の例:
A = 深さ.075インチ x 長さ1.0インチ
A = 深さ.050インチ x 長さ1.0インチ
A = 深さ.025インチ x 長さ1.0インチ
使用可能なオリンパス製品
平面座フランジの試験は、EPOCH 1000、OmniScan MまたはOmniScan MXを使用して実施することができます。
オリンパスの小型フェーズドアレイプローブは、ボルトとナット間の距離が短いフランジに最適です。
業界では、EPOCH XTなどの単一チャンネル探傷器が使用され、成果を上げてきました。 検査結果は、シール面の損失を示す数値のみ用いて示します。 画像は提供されないため、検査担当者の指示を文書にして残す必要があります。
利点
- フランジを解体せずシール面を状態評価
- 所有者/オペレーターのコスト削減
- フランジを解体する際に有害化学物質に暴露される可能性を低減したことで安全性が向上
- 機器がオンラインの状態で検査が可能
- TAR開始前の修理計画の立案