用途: パイプラインなど圧力格納機器の応力腐食割れ(SCC)を検出するには、渦流アレイ試験を使用します。
問題点: パイプラインの異常を検出することは、安全な操業を継続するために不可欠です。 製造上および環境上の条件によって発生した異常が原因となり、大惨事が多数発生しています。 応力腐食割れは、絶対フープ、張力、変動応力などの環境要因による複合的原因で、炭素鋼およびステンレス製のパイプラインで発生します。 その他に影響のある要因としては、材料(鋼鉄)の種類、含有物の数、表面の粗さ、塗装の完全性、土壌のpHなどがあります。
パイプラインでは、高いpH(9~11)と中性に近いpH(6~8)の、2種類のSCCが認められます。 2種類のSCCの一般的特性は、次のとおりです。
- 通常、亀裂は縦方向に入りますが、加わる応力の方向に応じて他の方向の亀裂も存在します。
- 数個から数百個の亀裂で構成される、密集した亀裂も発生します。
- 亀裂が連結して長く浅いきずができ、破断に進行することがあります。
- 破砕した表面は磁鉄鉱および炭酸塩の皮膜で覆われます。
渦流アレイ試験には、磁粉探傷検査などNDTの手法と比べると次に示す多数の利点があります。
- 磁粉探傷試験と比較すると、必要な表面処理が最小限。
- 大きな表面積を高速にスキャン。
- 検出された亀裂のおよその深さを判定。
- スキャンした領域のC-スキャンイメージングを使用して、レポート作成とその後の検査比較が可能。
- 密集した亀裂の中で最も深い亀裂を選別。
機器:
- 渦流アレイモジュール搭載OmniScan MX
- プローブSBB 051-150-032、150KHz、51mm(2.008インチ)の対象範囲
- エンコーダABTX176C
- 比較して深度推定を容易にするために、深さの異なるEDMノッチを備えた校正用標準器
手順: SCC検出用のSBB 051-150 -032によるパイプライン試験は、汚れを取り除いた滑らかな表面状態のパイプで行う必要があります。 パイプは厚さ1.5mm(0.06インチ)以下のエポキシ塗料を使って、塗装できます。 プローブの接触面にテフロンテープを貼り、磨耗を防止する必要があります。 通常、校正用標準機を使用して検出能力を確認し、機器の性能を確保しておく必要があります。 校正用のターゲット反射体としては、EDMノッチが適しています。 写真に示すように、プローブは長軸と平行な向きでパイプ上に置く必要があります。 スキャンは、プローブに取り付けたエンコーダで実行します。
ONDT技術サポートチームが開始時点で基本装置設定を提供する場合があります。 プローブを検査対象のパイプ上に置いて、最適化を行う必要があります。
結論
渦流アレイを使用すると、パイプラインでSCCによって発生した表面開口亀裂を検出できます。 この手法は、曲面とフラット面の両方に適用できます。 オーステナイト系と強磁性体の両素材を検査できます。 この手法では廃棄物が出ないため、磁粉探傷試験および染色浸透探傷試験とは異なり、環境にやさしい方法と言えます。