アプリケーションノート
稼働中の原子力プラント部材の超音波検査に関するEVIDENT製探傷器と探触子のEPRI PDI適合性 – PDI UT-3:肉厚方向のサイジング
性能実証イニシアティブ(PDI)プログラムについて
米国原子力規制委員会(NRC)は米国内における核施設の運用に関わる規則および規定を定める機関であり、これらの規則・規定は米連邦政府発行の規則集10CFR50として公表されます。原子炉の設計、建設および運転についての工学的な規格としてNRCが策定したのが“ASME Boiler and Pressure Vessel Code”(ASMEボイラー・圧力容器基準)です。このASME基準のセクションXIは、原子力プラント稼働中における部材検査の規則を記載しています。付録VIIIにはUT検査システムの性能実証についての、検査員と機器および手続きを一体として捉えた補足要件が記載されています。これは電力会社が実施するPDIプログラムで構成されており、そのPDIプログラムの運用を管轄するのがEPRIです。
原子力プラントの部材メーカーが超音波機器や探触子を検査で使用するためには、性能実証によってPDIが規定する一般的な手続きの要件を満たさなければなりません。実証試験はEPRIが管理するPDI実験室で、厳格に管理されたサンプルを対象として行われます。
配管検査に対応するPDI手続き
PDI-UT-3は、同種金属配管溶接部における面欠陥の肉厚方向の超音波サイジングを規定した汎用PDI手続きです。
- PDI UT-3:
- 肉厚方向のサイジング
- フェライト系配管溶接部
- オーステナイト系配管溶接部
- IGSCCのあるオーステナイト系配管溶接部
PDI UT-3で行う検査の目的は、配管内部に発生する面欠陥の肉厚方向の長さを、配管外面から正確に測定することです。これには、粒界応力腐食割れ(IGSCC)の影響を受けやすいオーステナイト系配管が含まれます。
この手続きは直径が1.5インチ以上の配管に適用されます。対象とする肉厚は、フェライト系配管の場合は0.237インチ~8インチ、オーステナイト系配管の場合は0.237インチ~3.125インチまでの範囲です。できれば、溶接部の両側から検査を実施してください。
適合機器
検査員は、認定された装置とプローブの任意の組み合わせを使用できます。
EPOCH™ 650探傷器は、認定されたすべての1、1.5、2、2.25、4、および5 MHzプローブとの併用が認定されています。
Evident製適合プローブの概要を次の表に示します。
適用可能な旧モデル
以下のモデルも、その耐用期間中に適合性が証明されています。
- EPOCH 600探傷器
- EPOCH 1000探傷器
- EPOCH II、III、4、およびXT探傷器
- SONIC 1200S、136、および137探傷器
特定の条件への適合性マトリックスについては、PDI一覧表を参照してください。
その他のEPRI手続き
上記以外にも次のような汎用手続きが存在します。
PDI-UT-4 穴付きスタッドボルト
PDI-UT-5 スタッドボルトのSB検査
PDI-UT-6 原子炉圧力容器溶接部
PDI-UT-7 原子炉圧力容器溶接部における肉厚測定と欠陥長さサイジング
PDI-UT-8 同種および異種金属での肉盛溶接
PDI-UT-10 異種金属溶接部
PDI-UT-11 原子炉圧力容器ノズルにおける、シェル溶接とノズル内側半径の欠陥検出およびサイジング
弊社はこの分野の動向に注意を払い、本内容を定期的に更新しています。