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セメント分析用ポータブルXRDおよびXRF

By Josh Litofsky

オリンパスのポータブルX線回折装置(pXRD)および蛍光X線分析計(pXRF)を使用すると、技師、エンジニア、科学者は、各種のセメント、コンクリート、個々の構成材について、リアルタイムの定量的同定が可能になります。 これらの小型装置を現場での分析に用いれば、材料相を速く正確に同定・定量化できます。

試料を外部のラボに送ると、数日または数週間かかることがありますが、オリンパスの特許取得済みpXRDおよびpXRFを使用したセメント分析では、数分もしくは数秒のみで済みます。 これらの装置をセメント製造や品質管理に使用すれば、採石場、貯蔵場、サイロから、混合プロセスを使用するキルンやミルへの供給材料の価値を確認するのに役立ちます。

Quarry

  • 現場でカルシウムレベルをチェック
  • 地中から採掘したあらゆる材料の品質を把握

Raw Materials Storage

  • 貯蔵場ヤードにあるすべてのパイルの元素組成を把握
  • キルンに到達する前に貯蔵倉から正しい材料適切な原料を除去していることを確認

  • 正しい適切な混和材料を追加していることを確認

  • 供給材料を分析
  • 添加する石こうの硫酸塩(SO4)含有量が正しいか検査

Clinker Storage

  • キルンからの混合材料を検査して切り替え作業を迅速化
  • 再ブレンドのために混合パイルの組成分析結果を把握

Kiln Relining

  • キルンのレンガに対する受け入れ品質管理を行って、正しい材料で製造されていることを確認し、初期故障不良を防止

オリンパスのXRDを採用することの利点

オリンパスのpXRDには、以下のようなたくさんの利点があります。

  • 高速のデータ収集: 試料の前処理から分析までが数分で可能
  • 実質的にメンテナンスフリー: 圧縮ガス、水冷装置、二次冷却装置、外部変圧器が不要なため、ダウンタイムとコストが低減
  • 簡単な試料準備: 乳鉢と乳棒による簡単な処理は、あらゆる経験レベルの作業員が現場ですぐに行うことができ、複雑な機器が不要
  • 小型の試料ホルダー: 従来のXRDでは大量の試料が必要だったのに対して、新製品では材料15 mgのみ必要

XRD analyzer

オリンパスのXRD装置は、大規模で複雑なラボのシステムと同等の分析能力を、コンパクトで使いやすく、費用効果の高いソリューションで提供します。


現場での定量化

オリンパスのpXRD装置は、化学組成や方位に関係なく、あらゆる鉱物相を現場でリアルタイムに同定できます。 銅(Cu)のX線管が装備された回折装置では、ポートランドセメント、コンクリート、石こう、石灰岩、ポゾランなど、さまざまな材料を検査できます。

オリンパスのXRD装置では、セメント製造工程のさまざまな材料を検査できます。

エンジニアは、これらの情報を現場でリアルタイムに使用して、セメントの化学組成やグレードを詳細に把握するほか、工程中に使用する添加剤の分析も可能です。 プラントでは、化学組成や相分析結果をその場で取得でき、保留して再ブレンドが必要な規格外のクリンカー、原材料、添加剤の量を削減できます。

上のディフラクトグラムに示すように、オリンパス IIおよび III XRD装置は、セメント・骨材産業の各種の材料相をすばやく同定できます。 これには、採石場のカルシウムレベル、石こう供給材料の硫酸塩含有量、添加剤、工程中に発生する可能性がある不良材料などがあります。 各成分は、オリンパスの革新的な統合型自動相同定・定量化ソフトウェア、またはXPowder(同梱品)などのスタンドアロン型ソフトウェアパッケージを使用して、リアルタイムで同定および定量化できます。 これらのオプションによって、工程全体で相情報と鉱物分析の定量化がさらにすばやく簡単になります。

TERRA IIポータブルXRD装置を使用して検査を手早く行う技術者 65 66

コンクリートとセメントの組成のほとんどは、ケイ酸カルシウム、硫酸塩、炭酸塩、それにシリカです。 オリンパスのpXRD装置では、これらの成分を速く簡単に定量化できるほか、製品内で他の相を同定することもできます。 このような相としては、スルホスパーライト(テルネサイトともいう)があります。

スルホスパーライトが高レベルで含まれると、エネルギーコストが増加し、製造効率が低下します。 TERRA IIおよびBTX III pXRD装置は、下に示すようにスルホスパーライトを速く簡単に同定、定量化できます。

ポートランドセメントのXRD分析では、スルホスパーライトが同定、定量化されます。

商用グレードのポートランドセメントに、望ましいケイ酸カルシウム相であるエーライト、ラーナイト、ハトルライトに加えて、かなりの濃度(20%)のスルホスパーライトが含まれています。 このほか、同様の中間相(アルカリ塩化物やアルカリ硫酸塩など)も、製造時にキルンやサイクロン内の温度差によって発生します。

キルンの汚染でこれらのスルホスパーライトリングが発生すると、キルン密封の損傷、エネルギー消費量の増加、キルン内への粉塵混入、安全性の低下など、さまざまな問題を引き起こす恐れがあります。 やがて、このように汚染されたキルンは、費用のかかる予期せぬダウンタイムにつながりかねないため、潜在的な汚染相を早期に識別することが重要です。

ボーグ式

ポートランドセメントのクリンカーに含まれる主要な4つの鉱物(エーライト、ビーライト、アルミン酸塩、フェライト)を速く簡単に計算するには、ボーグ式を使用します。この計算は、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化カルシウムなど、各種酸化物の濃度に基づいています。 ボーグ式を以下に示します。

エーライト(Ca3Si):C3S = 4.0719CaO - 7.6024SiO2 -1.4297Fe2O3-6.7187Al2O3

ビーライト(Ca2Si):C2S = 8.6024SiO2 + 1.0785Fe2O3 + 5.0683Al2O3 - 3.0710CaO

アルミン酸塩(Ca3Al):C3A = 2.6504Al2O3 - 1.6920Fe2O3

フェライト(Ca4AlFe):C4AF = 3.0432Fe2O3

オリンパスのVanta™ポータブルXRF分析計では、これらの組成を30秒以内に定量化できます。 商用ポートランドセメントの試料を使用して、不明な鉱物濃度を装置上で直接すばやく計算できます。

Vanta pXRF分析計では、セメントのクリンカーに含まれる重要な成分をリアルタイムで簡単に検査でき、上述したように外部機器を必要としません。 TERRA IIまたはBTX III pXRD装置と組み合わせて使用すれば、コンクリートおよびセメント分析用の完璧なツールキットになります。

Vanta XRF分析計を使用すると、セメント分析はすぐ簡単です。

Vanta XRF

Vanta XRF分析計は、セメント製造工程向けの堅牢で信頼性の高い装置です。

ポータブルXRFおよびXRDの詳細

セメント製造工程におけるpXRFとpXRDについて、さらに詳しい情報が必要な場合は、 お近くのオリンパスにデモのセットアップを依頼するか、以下のリソースをご覧ください。

Olympus、Olympusロゴ、Vanta、BTX、およびTERRAは、オリンパス株式会社またはその子会社の商標です。

SwiftMinは、MinEx CRCの登録商標です。

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Josh Litofsky

Application Scientist, XRF Technologies

Josh Litofsky holds a bachelor’s degree in physics from Beloit College and PhD in chemical engineering from Pennsylvania State University. For his PhD, he focused his research on advanced characterization of designer materials using X-ray diffraction. From 2019 to 2022, Josh brought his expertise to Evident as an application scientist, supporting our X-ray fluorescence (XRF) analyzers to provide enhanced solutions to customers. In his free time, Josh enjoys running and has run the fastest 100k in the state of Pennsylvania.

この用途に使用される製品


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Vanta

VANTAシリーズは携帯性に優れたハンドヘルドタイプながら、素早く高精度な成分分析が可能で、質の高い分析結果を得ることができます。 IP55またはIP54相当の防塵・防水性能を備え、落下試験にも合格しているため、厳しい環境での分析業務にも対応することができます。