安全へのギャップを橋渡し
2017年時点で、米国内で使われている橋梁は600,000か所を超えています。 そのうち約9%の橋梁は構造的に不完全と分類されます。橋梁の状態に重大な欠陥が含まれ、安全性を維持するためには制限を強制する必要があります。 構造的に不完全な橋梁は差し迫って危険というわけではありませんが、十分な改良を施さない場合は危険になる可能性があります。
橋梁の平均寿命は50年ですが、米国内にある橋梁のうち約4分の1はそれより古いものです。 (新旧とも)橋梁が構造的に正常で安全に渡れるようにするために定期的な検査が要です。 橋梁の安全性を確実に維持するため、検査員はさまざまな非破壊検査(NDT)手法に頼っています。 従来のNDT手法は実用的ではあるものの、効率性と信頼性に関して最適ではありません。 一方、最新の超音波探傷を使用すると、検査員は優れたデータと信頼性の高い情報に基づいて作業を行うことができます。
問題
鋼製橋脚を結合する溶接部とボルトは、腐食や亀裂を招く不連続部が特に発生しやすい部分です。 例えば、溶接部が鉄鋼に完全に溶融していない場合や閉じ込められたガスがある場合、溶接部の強度は弱くなります。 ボルト結合部は、固定された2つの構造部に反対方向の力が働くと発生するせん断応力によって弱くなる可能性があります。 これらの弱い部位に強い応力が集中し、破砕が発生する場合があります。
従来のNDT手法
橋梁の検査に使用されていた従来のNDT手法は浸透探傷試験(PT)です。液体染料を使用して溶接部表面の亀裂を明らかにする手法です。 PTは材料の制限がほとんどなく比較的安価ですが、表面の亀裂を検出することに限定され、表面下の亀裂は見つけられません。 さらに、PTを使用するには検査員が検査対象の表面に直接アクセスする必要があり、表面の粗さが検査感度に影響する場合があります。
放射線探傷は橋梁の検査にも使用できる従来のNDT手法ですが、徐々に利用者は減りつつあります。 放射線探傷ではX線を使用して溶接部/ボルトの内部構造の写真フィルムを作成し、接合部に不連続箇所がないか判断します。 しかし、この手法では放射線を発して化学廃棄物が生成されるため、安全面でリスクがあります。 また、追加のライセンス供与が必要であり、放射線探傷に近接するエリアから人を遠ざけなければなりません。
別格のNDT手法
フェーズドアレイ超音波探傷(PAUT)は、PTや放射線探傷に代わる安全性と信頼性を持つ手法であり、優れたデータ品質を提供します。 フェーズドアレイ探傷器では、プローブを使用して高周波音を橋脚に送ります。 亀裂や腐食などの欠陥がある場合、プローブは変化した音波を検出します。 データが探傷器に送信されて視覚的な表示に変換されると、検査員はそれを使用して欠陥を識別できます。
現在、54,000か所を超える橋梁が耐用年数より古く、修復や架け替えの時期を迎えており、完了までに37年かかる事業となっています。 毎日のように渡る橋の安全性を維持するため、橋梁の検査員は重量制限を要する欠陥を判別できる必要がありますが、この用途においてPAUT探傷器とEC探傷器は、放射線探傷とPTに代わる優れた手段となっています。
出典
American Society of Civil Engineers 2017 Infrastructure Report Card
American Road and Transportation Builders Association 2018 Deficient Bridge Report