この世のものではありません:博物館によるXRFを使った隕石コレクションの検査
隕石は、彗星、小惑星、惑星、または流星体のかけらが、宇宙空間と大気圏をなんとか通過して地球上にたどり着いたものです。夜空にきらめく流星がはかなく美しいのとは違い、隕石は宇宙から来た朽ちることのない遺物です。
隕石は宇宙物質のサンプルとして、多くの研究者やコレクターの目を惹きつけてきました。研究者たちが興味を持つのは、隕石に原始太陽系についての情報が含まれているからです。隕石の研究によって、太陽系の進化に関する知識が深まります。
隕石のコレクション例。画像提供:上海(中国)の私立隕石博物館。
3種類の隕石とその組成
隕石は、岩石、金属、あるいはその両方でできています。これらの隕石は伝統的に3つのグループに分類されます。石質隕石、鉄隕石、石鉄隕石です。
1. 石質隕石
石質隕石は主にケイ酸塩鉱物(造岩鉱物)からなりますが、ニッケル(Ni)と鉄(Fe)も含んでいます。NASAによると、既知の隕石の約95%は石質隕石です。
2. 石鉄隕石
石鉄隕石は希少です。NASAによると、石質隕石タイプは隕石全体の2%未満です。その組成は金属とケイ酸塩がほぼ等量になっています。金属部分は鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合です。
3. 鉄隕石
鉄隕石はほぼ完全に金属です。大半を鉄(Fe)とニッケル(Ni)が占め、その高密度の金属性から地球上の岩石との見分けがつきやすくなっています。その結果、鉄隕石は地表に落ちるパーセンテージが小さいにもかかわらず、コレクションの中でよく知られています。
さまざまな種類の隕石。左から右: 石質隕石、石鉄隕石、鉄隕石。画像提供:上海(中国)の私立隕石博物館。
隕石か地球の石か?博物館がXRFを使って隕石の正体を明かす
隕石のハンターやコレクターが、屋外で隕石を探したり隕石と思われるものを購入したりする際に、それが本物かどうかを知るのは重要です。
これまで見つかった隕石の化学組成はよく研究されているため、ハンドヘルド蛍光X線(XRF)分析計で化学組成を調べれば、偽物の隕石を識別できます。このようなポータブル機器はサンプル内の元素やその量を即時に判定できるので、屋外や博物館内で隕石を検査するのに便利なツールです。
一例として、中国のある隕石博物館の研究者が当社のVanta Element-SハンドヘルドXRF分析計(Alloy Plus付き)を使用して、所蔵する隕石コレクションの全組成を調べました。石に含まれる鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、硫黄(S)、リン(P)について分析することで、コレクション内の偽物の隕石をすぐに判別できました。
特に、Vanta Element-S分析計は隕石中の金属元素を迅速に判定し、Al、S、Pなどの軽元素も分析可能です。
Vanta Element-SハンドヘルドXRF分析計
これは遺物の鑑定にハンドヘルドXRFを役立てる方法の1例にすぎません。遺物の鑑定にハンドヘルドXRF分析計を使用する方法ついての詳細は、当社の専門チームにお問い合わせください。