アプリケーションノート
回転式チューブ探傷システムを使用するパイプの円形内部欠陥の検出
シームレスパイプ製造およびチューブ成形
シームレスチューブの典型的な傷は円形内部欠陥であり、丸底溝(RBG))とも呼ばれます。これらの欠陥はシームレスパイプの製造プロセス中あるいはチューブ成形の後で生じる可能性があります。検査官は石油およびガス産業で使用されるパイプの傷を特定し、評価する必要があります。
図1:典型的な円形欠陥
円形内部欠陥は肉厚減少と類似していますが、超音波探傷検査(UT)では異なる反応を示します。その結果、これらの欠陥には特別な検査対策が必要になります。
パイプ内の円形内部欠陥を検出する取り組み
丸い形状により、超音波は複数の方向に反射するため、検査プロセスで円形内部欠陥を検出するのはやっかいです。このことにより、エネルギーが鋼を通って内部パイプの表面に達した場合でも、結合損失に似た弱い信号が発生します。
図2:円形欠陥の超音波反射
円形内部欠陥の効果的な検出
オリンパスの回転式チューブ探傷システム(RTIS)は、特別なアルゴリズムおよび内部パイプ表面の高解像度の2Dマッピングを使用して円形欠陥を検出します。この方法は内壁からの振幅信号と境界面エコーの組み合わせで機能します。下図3で示すように、定義されたパラメーターを使用して信号を合成し、不完全な欠陥検出の輪郭を定めます。
図3:オリンパスのRTISアルゴリズムを使用した円形欠陥の典型的な検出
欠陥パターンを特定するため、システムはアルゴリズムパラメーターを使用して情報を分析します。同じ移動ウィンドウ内に一定数のアラームが存在する場合、システムでRBG欠陥が確認されます。
結果
確認された欠陥は専用のマッピングビューに表示され、設定可能なアラームを使用してPLCおよびレベル2に出力されます。
下図4-6の長い縦の線はテストパイプの円周溶接部を現しています。RBG欠陥は赤い円の中にあります。
図4:アルゴリズムで使用される生データ
図5:合成された潜在的なRBG欠陥の表示(オレンジ)
図6:標準フィルター適用後のRBGアラーム
結論
オリンパスのRTISアルゴリズムを使用すると、前壁と後壁の信号を組み合わせて、効果的に円形欠陥を検出することができます。リアルタイムで診断を行い、既存のチャネルを使用して、検査を予定通りに行います。欠陥のサイズパラメーター、通常は25.4 mm × 12.7 mm(1インチ × .5インチ)を定義し、円形欠陥の最大検出率を実現できます。アルゴリズムデータはこのような探傷のみならず、肉厚測定にも使用されて、効果的な検査ができます。
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