アプリケーションノート
ハンドヘルド蛍光X線分析計による促進腐食の検出
はじめに
原油は最初からガソリンの成分である炭化水素を含んでいま https://main--eds-evident-website--evident-scientific.hlx.live/ja/xrf-xrd/delta-handheld/delta-prof すが、その割合は全体量の10%から40%にすぎません。製油所の流動接触分解装置(FCCU)で処理することによって、原油中の高分子量炭化水素がより分子量の小さな、揮発性の高い化合物(たとえばプロペンやブテン)へと変換されます。フッ化水素酸(HF)を触媒としてこれらの化合物をさらに変換することによって液体ガソリンサイズの炭化水素(アルキレート)が得られます。アルキレートは、高いオクタン価を持つパラフィン系炭化水素(イソヘプタンとイソオクタン)の混合物です。 アルキレートはガソリンを調合するための高品位原料油であり、ガソリンにアンチノック特性やクリーン燃焼特性を付与します。これらの処理すべてを製油所内に張り巡らされた炭素鋼配管内に閉じ込めておかなければなりません。
このような炭素鋼配管中における、腐食の発生につながる元素(Cr、Ni、Cu)を低濃度でも正確に検出できるのが蛍光X線分析法(XRF)です。石油化学プラント内での促進腐食を予測するには、このような腐食につながる残留物を検出することが極めて重要です。ハンドヘルド蛍光X線分析計は、腐食につながる微量残留物の検出試験に役立つばかりではなく、始業点検、停止時点検、通常のメンテナンスやトラブルシューティングなどの手段として、石油化学産業にとって非常に頼りになるツールです。経営上の観点からも、技術の急速な進展から脱落せずについて行くためには、旧式で信頼性に劣る装置を使い続けるわけにはいきません。ハンドヘルド蛍光X線分析計の分析性能は向上し続けており、また新機能が追加されるごとに操作性がより効果的かつ効率的になっています。
応用の詳細
HFアルキル化プロセス装置内の構成部品の促進腐食を予測するためには、炭素鋼に含まれる微量Cr, Ni、Cuの測定が欠かせません。ハンドヘルド蛍光X線分析計DELTAはこれらの物質の正確な測定値を与えてくれます。これらの元素(Cr、Ni、Cu)の残留総量が0.20%を超えると、HFアルキル化プロセスが使用する炭素鋼の構成部品の腐食速度が促進されることが知られています。構成部品の種類や使用法、装置内での位置にもよりますが、これら3種類の残留量合計は0.15%から0.20%の濃度が望ましいとされています。Cr、Ni、Cuは低濃度でしか存在しませんが、非常に重要な測定であることから、検査前に構成部品の表面を少なくとも0.004インチの深さまで酸化アルミニウムディスクで研磨して除去する必要があります。下記のような多くの構成部品において、これら3種類の残留物の合計値が最大許容範囲に収まっているか否か検査することができます。エルボー、ティー、径違い継手、カップリング、フランジ、溶接部、キャップ、プラグ、その他の継手およびパイプ内の湯垢など。
モデル:DP-2000(高計数速度)
残留量合計値(合格基準 <0.075%)
残留元素量測定値
検査時間(モード):120秒B1(Alloy Plus
結論
25種類を超える元素を数秒で非破壊的に検査することのできるオリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計DELTAシリーズは、金属合金の使用や取引に関わるすべてのアプリケーションに不可欠なツールです。ダライ粉、削り屑、ロッド、ワイヤー、小型部品、構成部品から大型素材や大規模構造物に至るまで、非破壊で直接分析することができます。より高い価値、回収率、品質、適合性、保守および安全を目的に、純度、化学的性質、等級IDなどを確認する場合、ハンドヘルド蛍光X線分析計DELTAシリーズは直ちに分析結果を提供し、迅速に対処することができます。
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