アプリケーションノート
自動車用エアバッグカバーの破断部位の厚さ測定
このアプリケーションノートでは、自動車用エアバックカバーの破断部位の厚さを測定する方法について説明します。ここで説明する手順は、非磁性材料にある細い溝、ノッチ、またはチャンネル内で行う、他のあらゆる厚さ測定に適用できます。
自動車用エアバッグカバーの破断部位の重要性
安全装置として自動車やトラックにエアバッグを使用することは、ほぼ世界共通になっています。エアバッグは、成型プラスチックカバーで囲まれたハンドル、ダッシュボード、ドア部分に格納されています。
これらのカバーには、衝撃後にエアバッグが膨らむと瞬時に開くようになっている破断部位があります。適切なエアバッグ性能には、この破断部位の厚さが非常に重要です。厚すぎると、緊急時にエアバッグが完全に展開しない可能性があります。薄すぎると、通常運転中にカバーがぶつかったり押されたりして、分離する可能性があります。
したがって、破断部位の厚さの測定は製造品質管理の重要な部分です。破断部位の厚さは破壊方法で測定できますが、Magna-Mike™ 8600 ホール効果厚さ計は、エアバッグカバーを切断して機械的な測定を行う方法に代わる、迅速な非破壊法を提供します。
エアバッグカバー破断部位の厚さ測定手順
この手順で使用する機器は、Magna-Mike 8600 ホール効果厚さ計、86PR-1プローブ、86PR1-CWCチゼルチップ型ウエアキャップ、ターゲットディスク80TD1および80TD2です。
Magna-Mike 8600 厚さ計は、電磁気の原理を利用してプローブの先端と磁気ターゲット間の距離を測定します。プローブ先端を試験体の片側で保持し、ターゲットを反対側に配置して両者間の距離が試験体の厚さとなるようにします。破断部位の測定では、Magna-Mike 8600 厚さ計と共に特殊なチゼルチップ型ウエアキャップ86PR1-CWCを使用します。
自動車エアバッグの標準的な破断部位は幅が約1~2 mm(0.040~0.080インチ)で、中央の厚さは約0.5~1.5 mm(0.020~0.060インチ)です。断面形状には、両側が平らなもの、両側がV字形のもの、片側が平らで反対側がV字形のものがあります。
この測定に用いるプローブは、いずれの形状の破断部位にも合う細く尖った先端になっています(図1参照)。通常、1枚または2枚の特殊ターゲットディスクと共に使用します。80TD1シャープエッジターゲットディスク(直径3/16インチ(4.8 mm))はV字形の破断部位に合い、80TD2角エッジターゲットディスク(1/2インチ(12.7 mm))は平坦な破断部位に合うようになっています。プローブを直径1/16インチ(1.6 mm)の標準ターゲットボールと共に使用することもできますが、通常はボール状ターゲットを破断部位に使用するのは推奨されません。
図1:86PR21-CWCプローブ先端の近接画像。
装置の校正は、Magna-Mike 8600 操作マニュアルで詳しく説明されているように、あらゆるプローブとターゲットの組み合わせで同じように行います。ディスクターゲットで校正するときは、ターゲットがプローブ先端とぴったり合っていることが重要です。校正中にターゲットがずれると、測定が不正確になります。
測定時は、プローブをエアバッグカバーの外側に、ターゲットディスクを内側に配置して、プローブを自由に動かせるようにするのが一般的です(図2と3参照)。オペレーターはターゲットディスクの位置を監視して、ディスクが破断部の溝底部にしっかりと収まっていることを確認します。正確な測定を行うには、ディスクがプローブ先端に対してまっすぐに並んでいることが重要です。プローブとディスクの並びがずれたり、ディスクが破断部位内で傾いたりすると、測定値は不正確になります。他の Magna-Mike 8600 アプリケーションの場合と同様に、装置はプローブ先端とターゲット間の距離を測定しています。プローブ先端またはターゲットのいずれかが破断部位の表面に確実に接触していない場合、表示される厚さは誤って大きくなります。同様に、ターゲットディスクがプローブ先端に対してずれていると、装置からは実際よりも離れているように見え、測定値が大きくなりすぎます。校正とターゲットディスクの向きが正しければ、+/- 3%以上の測定精度が予想されます。
図2:エアバッグカバーの外側に配置されたプローブ。
図3:破断部位の内側に配置されたターゲットディスク。
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