最前線にて:国境安全に役立つ2つの非破壊ソリューション
毎年、米国国境には2,400万個を上回る輸送コンテナーが到着します。安全維持のため、税関職員は到着貨物に危険物がないかを検査しています。非破壊検査(NDT)機器は国境職員にとって欠かせません。貨物を破壊したり自身を危険にさらしたりすることなく検査できるためです。
こうした国境検問検査に、オリンパスNDTテクノロジーの2つが広く使用されており、それぞれ独自の利点を提供しています。
1. 危険物質や禁止物質を検出する蛍光X線分析計
国境検査員は違法薬物や武器などの禁止品目を締め出す一方で、有毒化学物質や危険物質を含む材料を調べる必要もあります。例えば、輸入玩具に飲み込むと危険な有毒金属が含まれている可能性があります。Vanta™ハンドヘルド蛍光X線分析計(HHXRF)などの操作が簡単な蛍光X線分析計は、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ヒ素(As)、水銀(Hg)、クロム(Cr)等の材料の化学組成をわずか数秒で測定できます。
HHXRFにより国境職員は国際規格の遵守を確保
検査員は、検査対象貨物が欧州連合発令のRoHS(危険物質に関する制限)指令を遵守していることも確認する必要があります。RoHSで規制されるのは、電子機器への重金属、ポリ臭化難燃剤、フタル酸エステル類などの危険物質の使用です。こうした物質が電子機器に使用されると有害な電子廃棄物となる恐れがあるため、RoHSでは、特定の電子製品に既定レベルを超える危険物質が含まれる場合に、EU圏内での輸入、製造、または販売を禁止しています。
税関や国境警備職員には迅速に現場で得られる結果が必要
従来、検査員はラボでの検査で材料判定を行ってきました。しかし、輸入および国境機関では毎日数百万点の品物を処理するため、大規模な検査をラボで行うのは非現実的です。蛍光X線分析(XRF)テクノロジーは、ラボでの検査に代わる迅速かつ信頼性の高い手段です。
RoHSで規制されている材料について、Vanta分析計は、国際電気標準会議(IEC)のガイドラインに基づく明確な「合格/不合格」判定を表示します。XRF分析計は複数のRoHS物質を同時にスクリーニング可能で、最低限の試料前処理で数秒以内に検査することができます。ポータブルXRF分析計を使用すれば材料を現場で検査できるため、1日に検査可能な材料の数が格段に多くなります。
XRF分析計は電子製品内の危険物質の判別に使用できます。
2. アクセスしにくい場所を調査する工業用内視鏡
XRFテクノロジーは材料や危険物質の判別に有用である一方で、工業用内視鏡検査(RVI)機器は国境の安全とセキュリティを維持する上で同じように重要です。航空機、貨物船、自動車は、国境を超える前に禁制品や危険物質を積んでいないか検査を受ける必要があります。
輸送コンテナー間の隙間、自動車の燃料タンク、航空機の隠れた区画をくまなく調べて、危険物質がないことを確認する際に、工業用内視鏡が活躍します。こうした空間は、RVI機器がなければアクセスが難しい場合があります。
国境職員には簡単に操作できるビデオスコープが必要
税関検査員には携帯性と操作性が最も重要です。フライトの合間の時間的制約により、航空機はできるかぎり素早く効率的に検査する必要があります。保安職員は航空機に最小限の機器を携帯して乗り込むとともに、高い効率性を維持できなければなりません。
IPLEX™ G Liteなどのビデオスコープは、軽量で携帯性に優れているため便利なツールです。国境職員はGLiteビデオスコープを片手に持ちながら、電子制御式のTrueFeel®操作によってスコープの挿入管を狭い空間に差し込むことができます。タングステン製のTapered Flex®外装ブレードにより、挿入管は柔軟性と剛性が最適な作りになっています。
隠れた危険を見出す照明力
IPLEXビデオスコープは光源が交換可能で、白色光、紫外線、赤外線の各照明を備えており、検査員自身へのリスクを減らすのに役立ちます。国境職員は赤外光を使用して、暗いエリアの対象物や感光性の爆破装置を検査できます。また、長い挿入管によって、貨物内の禁制品や爆発物を離れた場所から検査できるため、国境の安全性とともに税関職員自身の安全性も向上します。
ビデオスコープは、以前はアクセスできなかった暗い空間の画像を届けることができます。