耐火材の検査法の比較:XRFと化学的滴定法

Sihan Tan

Sihan Tan

2024年 11月 19日

耐火材はその名が示すとおり、一般に使用操作温度が1200 °C(2192 °F)を超える、高温状態に適した化合物の製造に使用される原材料を指します。耐火材は鉄鋼、非鉄金属、建材、化学薬品、電力、環境保護、および航空宇宙など産業全般において、高温となる工程で広範囲に使用されています。

耐火材は、タンディッシュ内張り、ストッパーロッド、スライディングプレート、ノズル、およびその他の部品などの連続鋳造工程で一般的に使用されます。このような用途で使用される一般耐火材には、アルミニウムジルコニウムカーボンレンガ、アルミニウムカーボンレンガ、およびアルミニウムマグネシウムカーボンレンガなどがあります。

耐火材の化学組成の判定は、その素材の品質、性能、および特殊な高温用途に対する適合性の確認に最も役立ちます。耐火材を検査する場合、一般的な検査項目としては以下が挙げられます:

  1. 酸化物原料
  2. 完成品

ここでは耐火材の検査に利用される2種類の元素分析法を比較していますが、サンプル準備の要件、検査の効率性、および試験結果に重点を置いています。

耐火材検査を目的とした元素分析法の比較

ラボでよく利用される元素分析法は酸塩基滴定です。しかしこの湿式化学分析法では、1人の技術者がラボで1日に得られるサンプル結果は、最大でわずか2~3です。

受け入れ材料の定期試験や検査への要求が高い現在の産業においては、耐火材メーカーの内部調査に対する作業量は大きな負担となっています。一方で、従来の滴定法の効率性は、必要とされる時間と労力のために、若干抑えられています。

ポータブル蛍光X線分析計(pXRFとも呼ばれる)は、耐火材の元素含有量を測定する、効率的で適切な手法を提供します。技術者は±10%以内の許容誤差の要件を満たしつつ、迅速に個々の検査結果を得られます。

2つの手法の要約を以下に記します:

検査手法
サンプルの準備
検査効率
化学的滴定法
大きなサンプルを細かく砕き、化学反応を用いてサンプルを検査(破壊試験法)
1日に2~3のサンプルを検査可能
pXRF
小さなサンプルの6つの各側面にX線を用いて試験を行い、平均値を取る(非破壊試験法)
1つのサンプルあたり5分

pXRFと化学滴定法との、サンプル準備の要件と検出効率の比較。

結果を見てみましょう。下記は完成品中で検出されたアルミナ含有量(合成的に生成されたアルミニウム酸化物、またはAl2O3)のパーセンテージの比較です:

Vanta pXRFの平均値を取った結果と、アルミナ含有量検出のための化学滴定法の結果を示したグラフ。
Canta Core pXRFの検出結果(50秒試験、平均値)と滴定法の結果の比較。

pXRF試験ではVanta Core(V2CA)モデルを使用しました。グラフから、平均化されたpXRF検査結果と、化学滴定法による検査結果との間に線形関係があることが認められ、pXRF分析計による検査の信頼性が確認できます。pXRF装置は、簡単な校正の後に目標値を表示できます。

耐火材中のアルミナ含有量のパーセンテージを示す、Vanta pXRF分析計のスクリーンショット。
Vanta pXRFの試験結果は、耐火材中のアルミナ含有量のパーセンテージを示します。

ポータブルXRF技術により、非破壊、高精度、および迅速な元素分析の結果が得られます。このため、耐火材の検査効率が大幅に向上します。この技術が次世代Vanta CoreハンドヘルドXRF分析計にどのように作用するか知るには、当社にご連絡いただければ、デモンストレーションいたします。

Sihan Tan

Sihan Tan

アプリケーションエンジニア、分析装置

Sihan Tanは英国マンチェスターの大学を卒業し、現在はEvidentで分析装置のアプリケーションエンジニアとして働いています。アプリケーションの開発に注力し、蛍光X線(XRF)分析計の技術サポートを行っています。