採鉱用掘削機スイングシャフトの検査

露天採掘では大型トラックやシャベルが必要となることがよくあります。たとえば、巨大なドラグライン掘削機を大規模に稼働させて表土を取り除くことにより、石炭や他の資源の鉱床にたどり着くことが可能になります。このような装置はそれ自身が巨大であるため部材の肉厚も大きく、超音波を応用するにあたっては難しい問題が生じます。また、所定の位置に装着され、運転可能な状態で部品検査を行う必要があるため、要検査部位へのアクセスが制限されるという問題も起こります。フェーズドアレイ はこのような検査に多くの利点をもたらします。

シャフトとピンの検査

掘削機全体にわたる多くの場所でシャフトとピンが部品として使用されています。 その中でも、性能を左右する重要な役目を担うのがスイングシャフトです。 1 台の掘削機の中で複数のスイングシャフトが使用されていることもあります。 一般的に、これらのシャフトの長さは 200 インチを超え、直径は 22 インチを超えます。 疲労亀裂や、その他の欠陥を試験するためには複数の部位へアクセスする必要がありますが、部品が定位置に装着されている状態ではアクセスに制限が生じます。 従来方式の超音波検査では、できるだけ多くの部品を検査するために角度の異なる複数のウエッジを使用していました。 いったん欠陥が検出されると、そのシャフトを取り外して一方の端から他方の端まで垂直探傷でさらに検査し、欠陥の性質と範囲を解析します。 しかし、シャフトには多数の孔や障害物が存在することが多く、単一ビームで垂直探傷を行う場合の妨げになります。 特に注目すべき検査領域は応力が集中する部位、直径にテーパーや絞りがかかった領域です。 しかし、フェーズドアレイならば 1 台のプローブから複数の角度を使用して検査を行えますから、アクセスの制限された領域であってもはるかに優れた検査が可能であることに加えて、欠陥個所のモニタリングが必要な場合は画像とデータを保存することができます。

所定の位置に装着されたスイングシャフトと、一部の部品を取り外したスイングシャフト

従来方式とフェーズドアレイアングルビームの探知範囲。 赤い線は、部品が装着されたことにより生ずる探知範囲の限界を示します。

シャフトを取り外して行う現場検査

欠陥のないシャフト（テーパーの隅部分）と、疲労亀裂が生じたシャフトから得られる画像

ドラグライン掘削機のいたる所でシャフトとピンが連接

使用機器

OmniScan SX または MX2

• 可搬型： 掘削機の窮屈なスペースにもアクセスが容易
• 従来方式、フェースドアレイ、TOFD のいずれにも対応
• 手動、またはエンコーダーを使用してデータ収集

フェーズドアレイプローブとウエッジ

• アプリケーションごとに異なります
• 共通周波数： 2.25MHz
• シェアウエッジとフラットウエッジ
• 摩耗表面に接触させて長い金属経路を垂直探傷

オプションソフトウェア・アクセサリー

• OmniPC 検査データ収集後の解析ソフトウェア
• 小型ミニホイールエンコーダー