摩耗した二振動子型探触子を新品同様にするための3つのステップ
二振動子型探触子には強靱さが求められます。二振動子型探触子は、荒れた表面からある程度滑らかな表面、塗装面から腐食面、凍結表面から非常に高温な表面まで、さまざまな物体の表面で日常的に使用されています。二振動子型探触子は、頑丈ですがそれでも摩耗は避けられません。
しかし、測定時に加える圧力をできるだけ小さくすることにより、探触子の製品寿命を延ばすことができます。たとえば、読み取り値が得られないほど表面が荒れている場合、探触子を表面にこすり付けても良い結果が得られるどころか、探触子自体が摩耗してしまします。同様に、最小厚さの検出時に一定面積をスキャンする必要のある用途では、かける圧力を可能な限り軽くし、スキャンしてください。表面の荒れがひどい場合は、探触子の摩滅を抑えるために表面を滑らかにしてからスキャンしてください。
とはいえ、いかに慎重に操作しても、探触子は摩耗します。測定に支障が出るほど測定器が摩耗したときは、ときどきリサーフェス(表面を再整備)すれば製品の耐用年数を伸ばすことができます。
摩耗した探触子での問題
探触子を荒れた表面に押し付けると、遅延材がそれを囲む金属リングよりも早く摩耗します。探触子の表面が摩耗すると、探触子面と測定する対象物間のギャップを埋める接触媒質層が厚くなって効率が低下します。接触媒質層が厚くなりすぎると、試験対象物に伝わる音響エネルギーが弱くなりすぎて、探触子の感度が失われます。もうひとつの副作用は、厚さ計による「ゼロ点調整」の作業が困難になることです。どちらかの問題が発生したら、探触子をリサーフェスするタイミングです。
探触子のリサーフェス
リサーフェスでは、探触子を「新品同様」の状態に戻します。リサーフェスプロセスでは、探触子の接触面の全面が平坦になるまで金属リングを研磨(サンディング)します。作業は次の簡単な3ステップで済みます。
ステップ1:正しい番手の研磨シートを選択する
最初のステップで、適切な番手のシリコンカーバイド(または同等の)研磨シートを平坦なプレート上に置きます。探触子のタイプによっては乾燥した状態での研磨が適しているものと、湿めらせた(水で)状態での研磨が適しているものがあります。以下の表を参考にしてください。
ステップ2:探触子の面を慎重に研磨する
探触子の面を、平坦に、かつ長手軸方向に垂直に研磨することが重要です。探触子がぶれて面が「丸みを帯びた」場合や、研磨する面に角度が付いた場合、修正が困難または不可能になります。
探触子をスムーズに短いストロークで動かしてリサーフェスします。2、3回ストロークしたら、探触子を90度回転させます。
探触子の赤色のラインが摩耗リングです。探触子がこの位置まで摩耗したら、それ以上のリサーフェスはできず、交換する必要があります。
ステップ3:リサーフェスした探触子をテストする
厚さ計二振動子型探触子をリサーフェスしたら、厚さ計に接続して「ゼロ点調整」機能が正常に機能することを確認してください。さらに試験ブロックや既知の試験標準で、探触子が正しく測定できるかチェックしてください。探触子が正常に機能しない場合は、検査いたしますので弊社にご返送ください。不適切なリサーフェスが原因で破損した探触子については、弊社は責任を負いかねますのでご了承ください。