効率性を追求した設計:さらにスマートになった HSMT-Flex™ スキャナー
パイプ溶接部の検査は、それ自体が困難な作業である上、大型で非常に複雑な装置がさらに難易度を高めています。AxSEAM™ スキャナーを開発した当時、私たちの目標は非破壊検査での長手方向溶接部の検査をシンプルにすることでした。非常に多くのお客さまより高い評価をいただき、当社の検査業界への貢献を実感することができました。
そしてこの度、周方向溶接部検査向けの信頼性の高いHSMT‑Flexスキャナーに、多数の新技術を導入しました。より過酷な条件にも対応し、HSMT-Flexは、表面温度 350 ℃ の高温環境下でも、設備を停止することなく検査を行うことができます。
定評のあるソリューションが、よりスマートでより柔軟に進化
HSMT‑Flex スキャナーは、20 年にわたってパイプライン検査で使用されている実績のある製品です。円周溶接部の安定したエンコード 1 軸超音波探傷用に設計され、フェーズドアレイ(PA)、TOFD(time-of-flight diffraction)、従来 UT 、のプローブに対応しています。最大 8 個のプローブを保持可能で、より厚みのある対象物を検査するにも溶接内部全体をカバーした検査が可能です。また、直径 114 mm の細径パイプにも対応可能です。
以下に今回のモデルチェンジにより追加された特長的な機能をご紹介します:
· ScanDeck™モジュールによるリアルタイムのスキャン状況のフィードバックと OmniScan の遠隔操作
· 内蔵されたレーザーガイドによる直感的な溶接部中心線に対する位置合わせ
· 迅速かつ工具なしで調整可能なばね式のプローブホルダー
· スキャナーを所定の位置に固定して、停止・再開時の安定性を確保することで、データの完全性を維持する新開発のブレーキシステム
· 工具が不要な調整機構と新しい ジッパーチューブ式スリーブ より、検査対象に合わせたスキャナーのセッティングがより迅速で簡単に
工具不要の調整機構で設定時間を最短に
スピードと柔軟性の向上を目指して再設計された HSMT-Flex スキャナーは、工具やアリ溝ナットを使用することなく、簡単に調整することが可能です。。これにより、調整に要する時間が短縮され、現場での作業が簡素化できます。
工具が不要な調整には、以下のコンポーネントの操作や再配置が含まれます。
· プローブホルダー
· エンコーダー
· ケーブル管理システム
· ScanDeck モジュール
· ブレーキ機構
· ハンドル
· バーに沿ってスライドするフレームと変更可能なバー長さ
1回のスキャンで高品質なデータを取得
精度と一貫性の向上のために設計されたスプリング式のピボットプローブホルダーは、機器のがたつきを最小限に抑えながら、最適なカップリングを維持します。これにより強力な信号の完全性が確保され、きずの検出が見逃される可能性が低減されます。
複数のプローブ構成とレーザーガイドなどのアクセサリに対応した HSMT-Flex スキャナーは、溶接が位置合わせされた状態を保ち、勘や水量に頼らずに必要な範囲の検査を実施できます。
自律性と検査効率の向上
より高度なコントロールが必要な場合でも、オプションの ScanDeck モジュールを用いれば、OmniScan でのデータ収集をスキャナーから手元で行うことができます。また、リアルタイムでカップリングとスキャン速度をモニタリングし、調整が必要な場合はアラート表示がされます。
スマートフォンと接続し、OmniScan™ X4 RCS アプリでスキャンデータをリアルタイムで監視することでワークフローを効率化し、探傷器本体に視線を移さずにスキャンに集中できます。
現場条件に合わせた設計で、高温環境での検査にも対応
堅牢でありながら軽量なスキャナーのアルミフレーム、マグネット式ホイール、そして内蔵されたケーブル管理システムは、過酷な環境下でも耐えうる設計になっています。これらにより、メンテナンスを最小限に抑え、作業を中断する回数を減らすことで効率性を高めます。
高温モデルの HSMT-Flex スキャナーは、プロセス配管やタンク、圧力容器などの高温表面を350°C まで、ScanDeck モジュールを使用した連続スキャン時には 300°C まで、信頼性の高い検査を実施できます。シャットダウンが完了する前に検査を実施することが可能で、より早期のきず検出とより効率的なメンテナンス計画をサポートします。
スキャナーおよび検査ソリューションの製品マネージャー
Simon は理学士の学位を持つ、当社の検査ソリューションの製品マネージャーです。14 年以上、数多くの革新的なポータブルスキャニング装置と検査ソリューションの導入を指揮し、改良された超音波データ収集技術を市場にもたらしてきました。