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宇宙ステーションの亀裂の検出:優れた性能を持つ渦流探傷器

Ghislain Morais

2022年 1月 28日

IP66相当の設計で実証済みのNORTEC™ 600シリーズ探傷器は、過酷な条件に耐えられる堅牢性があります。しかし、今年の初めに経験した現場検査は究極のものでした。宇宙飛行士が渦流探傷(ECT)機器を使用して、国際宇宙ステーション(ISS)の亀裂を検査したのです。宇宙に行くことは、おそらく究極の環境での検査と言えるでしょう。

宇宙ステーションの空気漏れの発見と修理

ISSはたくさんの与圧室とコンポーネントから構成され、それぞれの結合部は密封されています。許容される公称空気漏れ率が定められており、ISS飛行制御装置でモニタリングします。ISSの公称漏れ率にわずかな上昇が検出されたとき、調査が開始されました。この上昇は乗組員たちにとって危険とは見なされないものの、圧縮空気供給要件に関して長期的な影響を及ぼす可能性がありました。供給はロケットで地球から打ち上げる必要があるため、影響は少ないに越したことはありません。

漏れの発生源は、ズヴェズダサービスモジュールの移送室で見つかった小さな亀裂でした。以下に示す宇宙ステーション運用の重要な要素は、サービスモジュール内に収容されています。

与圧コンテナーでは、多くの場所で亀裂が発生する可能性があります。最もよくあるのは、高い応力負荷(尖った先端、厚い部分から薄い部分への移行など)のかかるポイントや、修理が行われた領域で亀裂が発生するケースです。

この性質の亀裂を修理するための標準的な方法では、亀裂の先端に非常に精密なマーキングをする必要があります。そのため、亀裂の先端位置の特定に必要な精度を備えた、オリンパスのポータブルNORTEC 600D二重周波数モデルとペンシル型プローブが使用されました。NASAは、この機器が打ち上げとISSでの使用に耐えられることを認証できました。そのユーザーフレンドリーな操作は、ISSのクルーが比較的習得しやすいものでした。

NORTEC渦流探傷器(左)と表面亀裂検出用のベントシャフトプローブ(右)

渦流探傷の仕組み

渦流探傷試験(ECT)は、電磁誘導を使用して導電性材料内に振動する磁界を生じさせます。例えば、ETCプローブを金属試験体に近づけると、渦電流という電子の環状の流れが小川で渦を巻く水のように材料内を移動し始めます。

試験体内を流れる渦電流から、それ自体の磁界が発生し、相互インダクタンスによりプローブ内のコイルと磁界の間で相互作用します。金属肉厚の変化や欠陥(表面近傍の亀裂など)があると、渦電流の振幅とパターン、それに伴う磁界の阻害または変動が生じ、コイルの電気インピーダンスが変化します。渦流探傷器でインピーダンスの振幅と位相角の変化がプロットされると、トレーニングを積んだオペレーターであればそれを使って試験体の変化を特定できます。

高周波ECT表面検査用プローブを使用した亀裂先端の検出

通常、表面亀裂の検出に使用されるECTプローブは、高周波渦流(HFEC)プローブとも呼ばれます。小さいコイルを持っており、コイルはシールドされている場合とされていない場合があります。設定可能なモードは、アブソリュートブリッジ、アブソリュート反射、ディファレンシャルブリッジ、ディファレンシャル反射の4つです。

物理的要件に対応するため、ストレートタイプと角度付きタイプの両方でさまざまな表面検査用プローブがあります。さまざまな形状に合わせて調節できるフレキシブルシャフト付きも入手可能です。表面検査用プローブは、小さな亀裂の先端を検出するために必要な感度で設計できます。コイルのサイズは、対象とする亀裂の長さ、深さ、幅をうまく検出できるように選択されています。

Left: Pin holes in a standard for eddy current instrument calibration. Right: Signal on the screen of a NORTEC 600 eddy current flaw detector using an absolute bridge coil probe.

標準試験片の0.5 mm(0.020インチ)の小さい穴(左)と、アブソリュートブリッジコイル構成のプローブで取得された、1つの穴に対する信号振幅結果(右)

表面および表面亀裂検出用にNORTEC 600を設定する方法については、このチュートリアルビデオをご覧ください。

NASAの欠陥検出率(POD)基準に対応

欠陥検出率(POD)がNASAの要件に準拠していることを検証するため、POD解析を実施する必要がありました。この方法は、同じ検査パラメーターを使用して標準試験片を複数回スキャンして、解析のために結果を記録するというものです。

測定回数
成功回数
失敗回数
29
29
0
46
45
1
61
59
2

欠陥検出に失敗する確率(下の式のp)は、このISO方程式のような、使用する規格で基準とされる式から算出します。

ISO規格による欠陥検出率(POD)解析の方程式

ここで、n は検査回数(成功+失敗)、dは失敗回数、FはF分布の分位数です。NORTEC 600D探傷器を検査した結果、信頼度95%で、求められる対象欠陥のPOD 90%を実証しました。

NORTEC 600探傷器が持つ航空宇宙向けの特長

NORTEC 600探傷器にはさらに以下の特性があり、航空宇宙アプリケーション向けの優れたツールとなっています。

宇宙飛行士が使用した渦流探傷器の詳細は、カタログをダウンロードするか、デモンストレーションをについてお問い合わせください