アプリケーションノート
TOFD平行スキャン
概要
代表的なTOFD検査では、溶接部の一方の側に送信探触子、その反対側に受信探触子を配置し、溶接軸に沿って平行に移動してスキャンを行います。この垂直(ビームと溶接部の位置関係から見て)スキャンを使用する主たる目的は、溶接キャップや補強材が付いたままで迅速に溶接部を検査することにあります。この手法を用いて、スキャン軸上での欠陥位置、欠陥指示長さ、欠陥指示高さ、および欠陥の特性評価などの情報を得ることができます。しかし、この手法の弱点の一つは、欠陥指示が現れる場所のインデックス位置(または、二つの探触子の中間)を知ることができないことです。通常、この情報を得るためには、溶接部を所定の位置に置いてパルスエコー超音波を補完的に使用します。一方、スキャンの方向とビームの方向が同じである平行TOFDスキャンは、あまり使われません。それは、溶接部全長を迅速にカバーすることができない、スキャナーの機構によっては複雑な動作パターンが要求される、溶接部全体を検査して得られる出力データが複雑である、などの理由からです。しかし、これらの問題が解決されれば、平行TOFDスキャンは、より優れた検査法であるといえます。
代表的な「垂直」溶接スキャンの配置と収集されたデータ。溶接部を横から見たデータ(溶接軸に沿って移動するスキャンの開始から終了まで)。エンコーダー部は黒丸で、スキャン方向は黒矢印で表示しています。
代表的な「平行」溶接スキャンの配置と収集されたデータ。 溶接部を横から見たデータ(溶接部を横切るスキャンの開始から終了まで)。エンコーダー部は黒丸で、スキャン方向は黒矢印で表示しています。
TOFD平行スキャンの利点
溶接部を溶接軸に沿って移動する垂直TOFDスキャンも精度の良い深さ測定が可能ですが、一般的に言えば、溶接部を横切る平行スキャンの方がより優れた深さ情報が得られます。さらに、きず情報や溶接部のインデックス位置特定についても後者の方が優れています。垂直スキャンの場合、複数回のオフセットスキャンを実行するか、または、補助的にNDT技術を使用してきず位置を特定しない限りは、インデックス位置を定めることができません。平行スキャンでは、最小時間ピークの位置を見つけ出すことによってインデックス位置を確かめることができます(最小時間ピークは、欠陥指示が二つの探触子の中間位置にあることに対応します)。このような理由により、重要な割れのサイジングや変化のモニタリングには平行スキャン技術が多く用いられます。言い換えれば、この技術を用いて、割れ、その他の欠陥の成長過程をモニタリングしておけば、それらが臨界レベルに達した時点でタイミング良く修理・交換を行うことができます。このような特長を持つことから、稼動停止や修理に多大な費用のかかるシステム(電力産業などが代表例)の重要な部品のモニタリングにこの技術が用いられています。きずをまたがって屈折が起こるため、多くの場合、きず周辺よりもきず自体からさらに多くの情報が得られます。
使用機器
- 装置のオプションは用途により異なる。最小限のプラットフォームとしてOmniSX-UT(U8779743)を推奨
TOFD探触子とウエッジ
- Centrascanコンポジット探触子 - 周波数とサイズはアプリケーションにより異なる
- ST1/ST2 TOFDウエッジ - 標準:Rexolite、オプション:ステンレス鋼
スキャナー・アクセサリー
- HST-X04 Scanner(U8750007)
- WTR-SPRAYER-4L(U8775153)
オプションソフトウェア・アクセサリー
- OmniPCとNDTセットアップビルダー(U8775269)、またはTomoView(U8148031)解析ソフトウェア
* アプリケーションノート作成のため、University of Ultrasoundからサンプルをご提供いただきました。
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OmniScan SX
シングルグループで軽量のOmniScan SXは、読み取りやすい8.4インチ(21.3cm)のタッチスクリーンを搭載し、コスト効果に優れたソリューションを提供しています。 OmniScan SXには、SX PAおよびSX UTの2種類のモデルを用意しています。 SX PAは、16:64PRの装置で、UT専用のSX UTと同様に、従来型UTチャンネルを備え、P/E、P-CまたはTOFD検査に対応しています。