経験のギャップを埋める:Remote CollaborationがNDTの指導を強化する仕組み

Emilie Peloquin

Emilie Peloquin

2025年4月6日

進化する非破壊検査(NDT)の展望において、先進技術の統合は、検査会社が直面する課題に取り組むうえで極めて重要です。上級のレベルIIIなどの経験豊富な検査員が直面する課題の一つが、特に物理的に現場にいないときに、新人検査員にタイムリーな指導を行うことです。HansenNDEのオーナーであるCharles Hansenは、EvidentのOmniScan X4フェーズドアレイ探傷器用のビデオ会議アプリ、Remote Collaboration Service(RCS)が、NDT業界においてピアラーニングや監督をどのように変えているかについての自身の見識を伝えています。

Chatting with Charles Hansen via videoconference from his office

オフィスにいるCharles Hansenとのビデオ会議でのチャット

継承:友情と指導がいかにHansenNDEを形成したか

NDTにおけるCharles Hansenの歩みは2007年に始まり、放射線(RT)、超音波(UT)、磁粉(MT)、浸透(PT)、および目視検査(VT)などの複数の方法にわたる実践的な経験に根ざしています。Hansenはキャリアの初期にUTに深い関心を寄せ、独自の設備に投資し、せん断波技術を習得するために多くの時間を費やしました。

Hansenは、自身が受けた教育の多くは、経験豊富な検査員が知識を惜しみなく共有してくれたおかげだと言います。「私が勤務していた工場で通常シフトの後に指導をしてくれた素晴らしい友人がいました。私は彼と一緒に作業に従事し、まず私がUTSW(超音波せん断波)を使用して溶接部をスキャンし、見たものについて彼にフィードバックし、次に彼がPAUT(フェーズドアレイUT)で溶接部をスキャンし、私のやり方、見えたものや見えていなかったものを教えてくれ、私が疑問に思った信号があれば説明してくれました。約1年にわたりこのプロセスを行って自宅で練習した結果、UTSWに十分な時間をかけたことで、正式な授業形式でのトレーニングを受ける準備がで整いました。」

アラバマ州バーミンガムにあるUniversity of UltrasonicsでMark Davisが教える超音波コースに入学したときに重要な瞬間が訪れました。技術的な知識を広げただけでなく、後に彼の成長に重要な役割を果たした指導者との出会いをもたらす決断でした。

数年間にわたり継続的に全国各地で仕事をした後、故郷のルイジアナ州に戻り、ある検査会社のUT部門を管理することになりました。雇用されて間もなく、ある技術者が亀裂を特定しましたが、私が現場で検証したところ亀裂はありませんでした。工場のオーナーと話したところ、工場でのスキャンを承認する前に技術者を審査するプログラムの構築に私が協力できるかどうかをオーナーから尋ねられました。プログラム開発という側面は当時の私にとって無縁だったので、性能実証認定(Performance Demonstration Qualification:PDQ)プログラムの構築を支援するために、オーナーをMark Davisに紹介しました。数か月が過ぎ、Markから様子うかがいの電話があり、短い会話の後で彼の会社であるVeriPhaseでの仕事のオファーを受けました。」

後にVeriPhaseでDavisと一緒に仕事をすることで、Hansenは、データ監査、PDQプログラム、NDTクラス、手順の開発、第三者審査など、高度なNDTの実践に関して貴重な経験を積みました。これらの成長期の体験が、指導の力に対する信念を形成し、現在では、その信念が彼自身の会社を特徴付ける原則になっています。

Markは私の素晴らしい友人であり、指導者であり、HansenNDEのアイデアのきっかけをくれたのです。」 現在Hansenは、次世代の検査員に彼の進歩を支援したものと同じような専門的指導を授けることを目的に、トレーニングとレベルIIIのコンサルティングの両方を提供しています。

OmniScan™ X4 RCSを使用したリアルタイムの専門的指導で新人検査員に力を与える

Remote Collaboration Service(RCS)はビデオ会議ベースのアプリで、OmniScan X4フェーズドアレイ探傷器とスマートフォンやデバイスを介した他の共同作業者とをシームレスにつなぎ、画面共有などの機能を有効にしたり、データ収集装置の遠隔操作を可能にしたりします。

Inspection technician holding a smart phone with a zoom video conference on the screen and showing his scanner and OmniScan X3 configuration using the phone camera

RCSはOmniScan X4ユニットを介して共同作業者をつなぎ、会議でモバイルデバイスのライブビデオや(検査構成の画像をストリーミングするため)、リアルタイムでX4の画面を共有することを可能にします。

私は、自分が物理的に現場にいる必要なしに、リアルタイムで共同作業を行い、監督できるように、RCSを活用して検査を遠隔で管理しています。これは迅速な決断に大変革をもたらしました。」とHansenは言います。Hansenは後に、当時RCSがあれば、亀裂を特定した技術者の判断が変わっていた可能性があると述べています。「技術者は、まさにその瞬間に私につなぐことができたのです。」と彼は言いました。

彼が考えるRCSの主な利点を挙げています。

Hansenはさらに、「私は場所に関係なく、現場の検査員に指導を行うことができます。検査員は決断を下すにあたり最後の質問があるかもしれません。また、A-スキャン、 S-スキャン、B-スキャン、またはC-スキャンのイメージングを、私が彼らと一緒にそこにいるかのように細部まで見られるように、彼らの画面を共有することができます。」と話します。

A laptop with the OmniScan X4 data displaying on its screen as well as a video image of a scanner on a pipe, positioning beside an OmniScan X4 flaw detector, a cell phone, and a tablet all displaying the same image of phased array data.

RCSアプリを使用したOmniScan X4ディスプレイの共同作業者のデバイスへの画面共有

遠隔地での検査に固有の課題を克服する

RCSはHansenの事業に多くの利点をもたらしましたが、一方で、一部の検査業務の遠隔地での実施は、当初、接続性に関する懸念があったことを彼は認めています。しかしながら、回避方法を見つけることができたので障壁にはなっていません。「遠隔地の接続速度は遅いかもしれませんが、シンプルな携帯電話のホットスポットは、電波状況を示すバーが1本の場合や電波がほとんどない地域でも、Starlinkがこれらの遠隔地を拡張して、非常によく機能します。」

代替案の評価:RCSが卓越している理由

RCSの導入に先立ち、Hansenは遠隔での管理に他のプラットフォームで試みました。「検査機器の画面を見るためにFacetimeとGoogle Meetを試しましたが、内蔵されたRCSソフトウェアで見られるような鮮明な画面やA-スキャンは見ることができませんでした。」広範な試験運用を経て、HansenはRCSがより信頼性の高い、効果的な遠隔コラボレーションの手段をもたらすと判断しました。

OmniScan X4とRemote Collaboration Serviceによる目に見える改善

OmniScan X3 フェーズドアレイ探傷器からOmniScan X4への移行に際し、Hansenは速度と応答性が大幅に向上したことを確認しました。そのRCSアプリをプロセスに統合することで、移動時間を最小限に抑え、検査所要時間を短縮することにより、コストが大幅に削減されました。他の従来のデータ収集装置とは異なり、OmniScan X4 RCSの画面共有機能は現場での明瞭なデータ視認性をもたらします。

Hansenは、使用するたびにその価値がもたらされると言います。「検査技術者からの『これは何だと思いますか』という最後の疑問を解決するためにRCSを使うたびに、これはとても貴重なものだと感じます。というのも、検査中は時間が極めて重要だからです。空港に行こうとしているときに、12時間後にその重要なフィードバックをすることはできません。初めて使っただけで採算が取れました。」

Hansenは、Evidentの販売担当者や技術チームによる優れたサポートについても褒めています。「私の地域の販売担当者は、私が投げかけるどんな質問にも答えられます。ただし、極めて技術的な質問については、Evidentヒューストン事務所のNDTアプリケーションエンジニアリング(AE)チームが素晴らしい仕事をしてくれます。私の疑問を解決するためにチームが裏方で尽力してくれていることに、感謝してもしきれません。このレベルのサポートは、今日の世界ではめったにあるものではありません。」

先を見越す:NDTにおける遠隔コラボレーションの将来

Hansenは、遠隔コラボレーションがNDTの実践にとって不可欠になる未来を想像します。彼は、「RCSの使用は今後10年間に急速に増加すると見ています。それがどんなものになっているかわかりませんが、技術の急速な進歩によって、どんなものになっているか楽しみです!」と予測しています。

結論:専門知識を共有する文化を構築する

Charles Hansenにとって、指導の価値は個人的な話以上のもので、職業上必須のものなのです。彼自身の進歩が、重要な場面で専門家の指導を受けられたことによって加速し、彼は現在では、新人検査員にその同じサポートを提供することに尽力しています。

HansenNDEを通じて、また、OmniScan X4フェーズドアレイ探傷器と組み合わせたRemote Collaboration Service(RCS)などのツールを活用することで、Hansenは、教室や現場を超えて彼の指導を拡大することができるのです。ライブ検査中に即時フィードバックする場合でも、全国各地でレベルIIIの職務をサポートする場合でも、彼は、経験を共有して学びを継続するという文化を育くんでいるのです。

NDT業界は遠隔およびデジタルソリューションを活用しているため、Hansenのアプローチは、指導がどのように進化し、そしてその影響力が指数関数的にどのように拡大するかを示す先駆的なモデルとなっています。

遠隔コラボレーションを使用してNDT業務を強化することにご関心がおありですか?OmniScan X4フェーズドアレイ探傷器X4 RCSが検査プロセスを変える仕組みをご確認ください。

詳細をお知りになりたい場合は、Evidentの担当者にご連絡いただくか、こちらからお問い合わせください

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Emilie Peloquin

Emilie Peloquin

エグゼクティブディレクター、グローバルNDTアプリケーションエンジニアリング

Emilie Peloquinは、2009年より溶接 / NDT業界に籍を置いています。応用科学準学士の学位を持ち、さまざまな非破壊検査方法を修得しています。2014年にEvidentに入社し、超音波技術、フェーズドアレイ技術など先進的な検査技術を中心に、技術サポートから製品管理にわたるさまざまな部署で働いてきました。現在の職務では、数多くの業界にわたり様々なアプリケーションをサポートしています。Emilieは、超音波技術に関するコードと規格の開発にも深くかかわっており、2022年にAmerican Society for Nondestructive Testing(ASNT)の役員に選出されました。